タイムラプスについて

安定した環境での培養と、精度の高い胚評価・良好胚選別を目指して 全ての患者様を対象としたタイムラプスモニタリング培養

タイムラプスインキュベーターとは?

タイムラプスインキュベーター

体外受精における受精卵(胚)は、温度やpHなどを体内に近い環境に設定した培養器(インキュベーター)の中で発育をしていきます。 タイムラプスインキュベーター(以下タイムラプス)とは、胚を培養する培養器と胚の様子を観察するカメラが一体型となった培養器です。

胚を培養しながら、内部のカメラで10~15分毎に胚を撮影し、その画像をパラパラ漫画のようにつなげることで「連続した」胚の発育動態を観察することができます。当院では精度の高い胚評価・良好胚選別のため、タイムラプスでの培養をおすすめしています。 ※タイムラプスは厚生労働省の定める先進医療のひとつです。

一般的な培養

1日1回の定点観察:培養器から取り出さないと観察できません。

培養1日目

2日目

3日目

4日目

5日目

 

タイムラプス培養

10~15分おきの連続観察:培養器に入れたまま観察できます。

 

当院では、すべての患者様の胚がタイムラプスで培養できるよう、1台で15名分の培養ができる大容量のEmbryo scope+(エンプリオスコーププラス)を導入しています。 タイムラプスから得られる胚の発育動態の情報は、胚培養士が細かく観察し、最終的な形態評価と組み合わせて胚評価を行っています。また、採卵後培養期間が終了したら、タイムラプスの動画を患者様と供覧し、胚の発育がどのようなものであったか、説明する機会を設けております。

タイムラプス培養のメリット

安定した環境下で胚のモニタリング
培養最終日まで胚を庫外に出さずに一定の環境で培養することができるため、胚へのストレスを最小限に抑えることができます。
より正確な受精状況の確認
1日1回の定点観察では、その観察したタイミングの一瞬の状況しか観ることができません。 しかし、タイムラプス技術を用いると、定点観察では見逃されていた受精の様子も細かく観察することが可能です。
不良な胚・異常な発育の検出
胚の発育には、それぞれ個性があります。 一般的に、発育のスピードが適切な胚、細胞の分割がきれいな胚は良好胚とされています。 タイムラプスでは、以下の不良な胚・異常な発育も見逃されません。
・フラグメンテーション(細胞質のかけら)の量
フラグメンテーションは少ないほうが良好胚とされています。
・ダイレクト分割

1つの細胞が2つの細胞に分割されるのが正常ですが、まれに1つの細胞が3つに分割されてしまうことがあります。

・リバース分割
1度2つに分割した細胞が、1つに融合してしまう分割のことをいいます。