体外受精(ART)治療
採卵周期
卵巣刺激
複数個の卵子を採取するために排卵誘発剤(内服薬や注射)を使用して卵巣を刺激します。 通常月経中から1週間程度の使用が必要です。
当院の卵巣刺激法は、1つの方法に固定せず、患者様それぞれの年齢や卵巣の状態に合わせて 薬剤の使い方や投与量を調整します。
採卵
卵巣内の卵胞(卵子の袋)のサイズやホルモン値が十分になったら採卵を行います。 採卵とは超音波で卵巣の位置を確認しながら、卵胞を穿刺し、体外に卵子を取り出すことです。
当院での採卵は、朝一番で処置を行いますが、静脈麻酔を使用するため術後に休養をお取りいただきますが、午前中には帰宅となります。
<静脈麻酔>点滴から麻酔薬を注入する方法で、採卵中の意識はなく寝ている間に終了します。
精液調整
採卵当日は、ご主人の精液を持参し提出してください。 提出された精液は、洗浄・濃縮して、運動性の良好な精子を集めます。
受精(IVF/ICSI):卵子と精子の出会い
当日の精液所見によって、体外受精(IVF)か顕微授精(ICSI)により受精を促します。
体外受精(IVF)
運動性の良好な精子と卵子を同じ培養液に入れ、精子が自力で卵子にたどり着き受精が成立するのを待ちます。
より自然に近い受精と言えます。
⇒精液所見が良好な場合に行います。
顕微授精(ICSI)
顕微鏡下で細いガラスの針を使用し、卵子のなかに直接精子一個を注入します。
⇒精液所見が不良な場合や、受精障害が疑われる場合に行います。
当院では紡錐体観察下での顕微授精を行っています。
採卵翌日の朝に、受精が成立しているかどうかを確認します。
胚培養
受精が成立した胚(受精卵)は、数日間、温度/湿度/ガス濃度を厳密にコントロールした培養器の中で培養されます。胚は細胞分裂を繰り返し、発育していきます。
当院では、タイムラプスモニタリング培養を行っております。
融解胚移植周期
準備
凍結した胚を移植する周期の準備には、2種類の方法があります。
- ① 自然周期:ご自身の排卵の時期を確認して胚移植日を決めていく方法
- ② ホルモン補充周期:月経中よりホルモン剤を使用して子宮内膜を整えていく方法
①の自然周期では使用する薬の量を抑えられますが、診察日が不規則となり移植日直前まで日程が決まらないという不便さがあります。 これに対して②のホルモン補充周期では月経中より妊娠初期まで継続的にホルモン剤の使用が必要となりますが、月経がきた時点で受診日や移植日のスケジュールをたてることが可能です。
どちらの方法を用いるかは、医師と相談して決めていきます。 移植に向けての診察では超音波検査や血液検査が必要になります。
胚融解
胚移植当日に、移植する胚を融解します。
当院での融解胚移植は、全例アシステットハッチング(AHA)を施行します。
胚移植
融解した胚を、子宮へ戻します。 胚移植は腟からの超音波で位置を確認しながら、子宮内の適切な位置に行います。
当院での移植個数は、多胎妊娠予防のため、原則1個です。 但し、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容しています。
※当院では日本産科婦人科学会の「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」を遵守しています。
妊娠判定
胚移植10日後くらいに、血液検査で妊娠判定を行います。
妊娠判定陽性の場合は、赤ちゃんの入る袋(胎嚢)が見え、心拍がしっかりと確認できるまで当院で妊娠管理を行います。経過が順調なことを確認して、無事に卒院となります。
・通常は妊娠8~9週の時期に東京衛生アドベンチスト病院、またはご希望の分娩施設にご紹介させていただきます。
凍結胚および凍結精子の更新/廃棄手続きについて
保存期間の更新(または廃棄)のご希望がある方は、必ず期間内に来院のうえ手続きをお願い致します。
※手続きにおいては、お二人の同意が必要です。